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Fig.6 Comparison with land utilization indexes

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Fig.7 Comparison with society base indexes

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Fig.8 Transition of urban population

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Fig.9 Transition of the aged population percentage

ら、大規模施設に関する項目値が低くなっている。つぎに、人口の推移をみると、Fig.8に示すように、港湾斜面都市では1985年から減少傾向にあることがわかる。しかし、港湾都市および全国平均では増加しており、港湾斜面都市からの人口流出が進んでいることがうかがえられる。また、Fig.9に示す高齢者人口割合の推移をみると、港湾斜面都市では全国の水準を上回る割合を示しており、港湾斜面都市での高齢化が著しく進んでいることがわかる。とくに、都市人口の減少に対して高齢者人口の割合が増加していることから、若年層の人口流出による高齢化であることが、その一因として考えられる。一方、港湾都市も高齢者人口の割合が年々高くなってきているが、まだ全国の水準を下回っており、港湾斜面都市ほど深刻な状況ではないことが推察される。
これより、港湾斜面都市における都市機能の特性としては、山に囲まれるといった地形的制約により、市街地形成や社会基盤整備に遅れがあることがわかる。また、それに伴って人口の減少や高齢化が起きており、都市の空洞化傾向を防ぐことが重要である。
6.まとめ
港湾斜面都市では、港湾の近代化への遅れが定住人口の減少や都市産業の停滞につながっていると考えられる。しかし、近代的港湾としてのコンテナ埠頭の整備や大規模施設を新たに港湾空間へ立地させることは、平坦地が狭小な港湾斜面都市ではバックヤード不足などから困難を極めることが予想される。そこで、フェリーターミナルとしての港湾特性を活かし、海からの景観を考慮した観光資源としての「みなとまちらしさ」を整備することが、今後の港湾斜面都市活性化を図る上で重要であると考える。
また、地形的制約による交通網の不足が物流機能、産業基盤機能に影響を及ぼしていることも考えられ、港湾の再整備とともに港湾を中心としたネットワーク形成が港湾斜面都市の活性化に重要な要素である。
したがって、新たな港湾機能の促進と港湾斜面都市の地域的特性を活かした都市整備は硬直化した港湾空間の再編ならびに都市の活性化へとつながるものと期待できる。
参考文献
1)平井信人・生形聡司:斜面都市における地域特性と整備課題、日本建築学会大会学術講演梗概集?7027, pp.53-54.1994.
2)近藤健雄:環境創造をめざす21世紀の海洋開発、清文杜、1994.3.

 

 

 

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